創建800年の歴史を誇る聖マリア大聖堂での合同ミサ。仙台白百合学園の生徒も参列した=3月21日、ポーランド・クラクフ
東日本大震災後に届いた励ましの手紙をきっかけに、仙台市泉区の仙台白百合学園中・高(生徒808人)がポーランドの日本語学校と交流を深めている。昨年からことしにかけて、両国の高校生同士による相互訪問も実現。生徒らは欧州きっての親日国とされるポーランドの人々の思いに触れ、友好の懸け橋となる誓いを新たにしている。
200通 突然届く
交流は震災から約半年後の2011年9月、船便で学園に突然届けられた手紙が機縁で始まった。ボロボロに傷んだ段ボール箱内の約200通の手紙には、被災者を見舞ったり、励ましたりする言葉が日本語でつづられていた。
差出人はポーランドの古都クラクフにあり、中学生から社会人まで幅広い世代が在籍する「サンスター日本語学校」。
テレビに映る津波の映像に衝撃を受けて「日本語を学ぶ自分たちにできること」を考え、被災者宛てに手紙を書くことにした。送り先として被災地のカトリック学校を探し、仙台白百合学園にたどり着いたという。
学園の生徒が返礼の手紙を送ると日本語学校の生徒らが感激し、昨年6月にポーランドの高校生8人が仙台を訪れる交流事業に発展した。
ことし3月下旬には学園側から生徒23人と教員3人がポーランドを訪問。生徒らはクラクフにある世界遺産の聖マリア大聖堂で、市民1200人と共に鎮魂と復興を祈る合同ミサを行った。
「家族のよう」
現地の高校で交流会も開かれ、被災した生徒3人が津波被害と復興の現状を報告。書道を教えたり伝統料理を教わったりして友好を深めた。車で約1時間半の距離にあるアウシュビッツの強制収容所も訪れ、ナチスによる負の歴史も学んだ。
訪問した3年の野川奈桜さん(18)は「日本への関心が高く、震災を心配してくれる人も多くて驚いた」、2年の佐藤梓さん(16)も「誰もが温かく、ホームステイ先では家族のように接してくれた」と振り返る。
阿部和彦教頭は「震災で失われたものはたくさんあるが、新たなつながりも生まれた。ポーランドの人々が寄せてくれた思いを被災地に伝えていきたい」と話した。
2013年05月31日河北新報朝刊
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