2013.06.14

命・記憶つなぐ緑の防潮堤 3万本の苗木植樹 岩沼

千年希望の丘の斜面に植樹し、保湿用などとして使う稲わらを運び込む参加者

千年希望の丘の斜面に植樹し、保湿用などとして使う稲わらを運び込む参加者

 宮城県岩沼市が進める「千年希望の丘」事業で、第1号の人工丘が同市下野郷に完成した9日、現地で3万本の苗木を植える植樹祭「メモリアル樹望(きぼう)式」があり、参加者は震災の記憶を後世に伝える緑の防潮堤の意義をかみしめた。
 第1号の丘は高さ9メートル、直径約70メートル。約6000万円の寄付金を元に、震災廃棄物や津波堆積土を埋め立てて造成した。
 植樹祭には、地元住民をはじめ、東北や首都圏、中部地方などのボランティアも参加。井口経明市長が「希望の丘は21世紀の人類の知恵の遺産になる。復興のモデルとして全世界に発信できる」とあいさつした。
 参加者は宮脇昭横浜国大名誉教授(森林生態学)の指導を受け、苗木の植樹に汗を流した。家族4人で訪れた岩沼市の30代の主婦は「津波をかぶった土地だけに、子どもたちも特別な思いで植樹したようだ。震災があったことを忘れてほしくない」と話した。
 会場には歌手の倉木麻衣さんや熊本県のPRキャラクター「くまモン」なども駆け付け、植樹祭に華を添えた。
 「千年希望の丘」は岩沼市の沿岸部約10キロで高さ10メートル前後、直径70~100メートルの人工丘を15基程度並べる計画で、うち2基は既設の丘を活用。丘の間は高さ約3メートルの堤防で結ぶ。津波発生時は丘が避難場所になり、津波の減衰効果も見込む。平時は震災の記憶をつなぐメモリアル公園になる。
 総事業費は約45億円。これまでに6基分の復興交付金が認められたが、残り6基は今のところ財源のめどが立っておらず、市は国内外に寄付を呼び掛けている。

2013年06月11日河北新報朝刊

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