2013.07.02

「津波桜」を地蔵に再生 女川の住民ら制作中、来年3月開眼

子どもから大人までが親しんでいた2本のソメイヨシノ。切り株が地蔵に生まれ変わる

子どもから大人までが親しんでいた2本のソメイヨシノ。切り株が地蔵に生まれ変わる

活用を検討している桜の幹を手にする藤中さん

活用を検討している桜の幹を手にする藤中さん

 宮城県女川町中心部で東日本大震災の津波に耐え、一度は花を咲かせながら枯れた桜を使い、住民グループ「女川桜守りの会」が地蔵の制作を進めている。安置する地蔵堂も整備し、震災発生から丸3年となる来年3月11日に開眼法要を開くことを目指している。
 桜は授産施設の庭にあった2本のソメイヨシノ。津波で幹が半分に折れたが、1カ月半後に残った枝に3輪の花が咲き、住民を驚かせた。
 かつては小学校分校の校庭や保育所の園庭だった場所で、守りの会事務局の藤中郁生さん(65)は「長年、子どもたちを見守ってきた」と言う。
 住民にも親しまれた桜は「津波桜」と呼ばれ、守りの会などが保全活動に乗り出したが、海水に漬かった影響で昨年春に枯死と判断され、やむなく伐採した。
 伐採木の幹や切り株の活用を検討していたメンバーに、町を訪れた僧侶が「桜は仏像を彫るのに適している」と助言。切り株は地蔵として生まれ変わらせることにした。
 切り株は制作を引き受けてくれた京都府の木地師に運ばれ、彫刻の作業が進められている。時間をかけて乾燥させ、高さ36センチの地蔵1体が出来上がる予定だ。
 地蔵堂は、桜があった場所の近くに再建されるJR女川駅周辺に建てる考え。守りの会は幹の再利用や町中に10万本の桜を植える計画も立てている。
 藤中さんは「駅の近くに地蔵を安置すれば多くの人が拝んでくれる。震災の犠牲者を供養するとともに、再び女川の子どもたちを見守る存在になってほしい」と願う。
 守りの会は地蔵堂建設費用の募金に協力を呼び掛けている。連絡先は藤中さん0225(53)3411。

2013年07月01日河北新報朝刊

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