2013.12.17

税制大綱 被災者、生活さらに苦しく 賃上げに反映無理

 東日本大震災の被災地には厳しい税の枠組みになりそうだ。12日決定された2014年度の与党税制改正大綱。消費税アップに伴う家計の圧迫を抑える配慮に乏しく、被災者は「生活がますます苦しくなる」と嘆く。一方で、被災地の復興予算に充てている復興特別法人税は1年早く13年度末に廃止される。「大企業ばかり優遇している」との不満も広がる。
 食品などの消費税率を低くする軽減税率。財産を失った被災者は少しでも楽になるが、導入時期はあいまいなままだ。
 「ただでさえ、資材高騰のあおりで工事費が上昇しているところに消費税増税が重なる。生活を立て直そうとしている人たちを苦しめるだけだ」。仙台市若林区の仮設住宅団地の自治会長山本靖一さん(72)は、不満をあらわにする。
 復興特別法人税の廃止には複雑な思いが渦巻く。
 宮城県南三陸町歌津の団体臨時職員及川清孝さん(64)は「経済政策としてやむを得ないだろうが、廃止できる財政的余裕があるなら、被災者の生活再建をさらに支援してほしい。企業が優遇され、弱い立場の人への配慮が足らない」と憤る。
 岩手県宮古市の会社員琴畑彩さん(32)は「被災沿岸部の中小企業はどこもぎりぎりの経営で、(廃止後も)賃上げに反映される期待はない。消費税率を据え置く方が被災地には意味がある」と話す。
 被災地の自治体トップたちは、廃止後の予算不足を恐れる。阿部秀保東松島市長は「復興の具現化には財源確保が不可欠。事業に影響が出ることを懸念する。国は、被災地がいまだに平時ではないことを念頭に政策を進めてほしい」と注文を付ける。
 税制大綱では、被災地の固定資産税免除の15年度の廃止も盛り込まれた。
 名取市閖上地区の自宅が津波で被災し、リフォームして住む男性(56)は「消費税アップだけでも心配なのに…。一律に廃止するのではなく、被災者の生活実態に合わせたきめ細かい対応をしてほしい」と訴えた。

2013年12月13日河北新報朝刊

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