2013.03.16

高知・黒潮の小学生、津波避難で震災「語り部」に手紙

スマイル16日分<

河北新報社の防災ワークショップ「むすび塾」の一環として、東日本大震災の「語り部」が訪れた高知県黒潮町の佐賀小(121人)の全校児童から、語り部2人に手紙が届いた。南海トラフの巨大地震で最大34メートルの津波が予想される同町。手紙には感謝の言葉とともに「自分も高台に早く逃げる」「家族と避難の方法を話し合う」などの決意がつづられていた。

 語り部を務めたのは、石巻市の石巻みづほ幼稚園園長津田広明さん(73)と、石巻地区消防本部警防課主査の野田和好さん(43)。防災意識を高め、今後の備えに生かしてもらおうと2月に佐賀小を訪問し、避難行動や教訓を伝えた。
 文面からは、2人の話に驚いた様子が伝わってくる。内陸部へ続く車の列が津波で流された目撃談を語った津田さんに対し、5年男子児童は「津波がどれほど強いか分かった。津波が高知に来たら高いところに逃げる」と書いた。
 津田さんは手紙を読み「話を聞く時の、みんなの真剣な表情を思い出した。身近な問題として感じてくれたようで良かった」と語った。

 建物の屋上で濁流にのまれ、九死に一生を得た野田さんは「まずは高台を目指し、津波の状況に応じてさらに高い場所に移る避難行動を」と訴えた。その言葉に、子どもたちは地震と津波に備える気持ちを新たにした。
 4年女子児童は「まず高台へ逃げるということを頭の中に入れて、訓練も真面目に頑張りたい」と書いた。3年男子児童は「もっと津波や地震の事を知って生き残れるようにしたい」と記した。
 野田さんは「聞いた内容を『一生忘れない』と書いてくれた児童がいて、頼もしく感じた。必ず自分や家族の命を守るという心構えを持って、将来の大地震に備えてほしい」と話した。

<高知県黒潮町> 県西部に位置し、海岸線は約30キロ。南海トラフの巨大地震では1メートルの津波が最短で地震の8分後に沿岸部に到達すると想定される。津波高は最悪の場合、全国最大の34メートル。人口約1万2700人のうち、約8割が浸水想定域に住む。カツオの一本釣り漁で知られ、水揚げを通じて気仙沼市と縁が深い。高齢化率は36.2%(昨年11月末現在)。
(2013年03月14日河北新報朝刊)

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