さまざまな場所で開かれた披露宴を回り、祝福を受ける新郎新婦
東日本大震災で被災した石巻市で出会い、まちづくり活動に取り組んできたカップルが16日、市中心部の商店街で結婚式を挙げた。多くの住民に立ち会ってもらい、商店街の盛り上げにもつなげようと、「まちぐるみ」をコンセプトにした。日本料理店など8カ所を回った2人のユニークな門出を、住民ら約180人が祝福した。
2人は石巻市出身の松村豪太さん(39)と埼玉県上尾市出身の享子さん(26)。ともにまちづくり団体「ISHINOMAKI(石巻)2.0」の理事を務める。
会場は人前式が呉服店で執り行われ、披露宴がシェアオフィスなど5会場であった。ほかに受け付けと休憩場を商店街に設けた。
2人は人前式に振り袖、はかま姿で臨んだ。誓いの言葉を述べて指輪を交換し、たる酒の鏡開きをした。披露宴会場はウエディングドレスとモーニング姿で回った。各会場では地元料理人が腕を振るったほか、住民らが獅子振りやゴスペルなどで盛り上げた。
夫の松村さんは震災後、市中心部で泥かきなどの復旧活動に従事。2011年5月、被災者の聞き取り調査のため石巻市を訪れていた大学院生の享子さんと出会った。同年7月に松村さんが石巻2.0を立ち上げた。メンバーに加わった享子さんは都市計画を研究している経験を生かし、まち歩き地図の作製や移住者向けのワークショップなどに取り組んだ。
交際を始めた2人は13年9月に婚姻届を提出し、「普段の活動でお世話になっているまちの皆さんの立ち会いで開きたい」と今回の結婚式開催を決定。石巻2.0のスタッフやボランティア仲間、商店街の店主らが協力し、約2カ月かけて準備してきた。
松村さんは「まちを外に向けて開くことが団体の理念。結婚式を素材にまちを面白くしたいと考えた。商店街が少しでも盛り上がればうれしい」と話した。
享子さんは「式を通じてまちの人とのつながりを再確認できた。これからは同じ商店街の家族として、一緒に楽しいまちにしていきたい」と語った。
2014年2月20日河北新報朝刊
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