2014.03.08

手作り文机、学びの友に 亘理の被災者へ東京の男性寄贈

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吉田さん(右)が宮前仮設住宅の集会所に運び込んだ文机を興味深そうに見入る渡辺さん

 東日本大震災で大きな被害が出た宮城県亘理町の被災者に、東京都の78歳の男性が手製の小さな文机を贈る活動を続けている。2年間で40個近く製作し、町の臨時災害FM局「FMあおぞら」を通じて仮設住宅の住民らに手渡す。「狭い仮設でも使いやすいように」との心遣いが住民らを喜ばせている。
 東京都練馬区の野上信雄さんはラジオの全国放送で、FM局が放送を通じて町民を勇気づけようと奮闘していることを知り、2012年4月から支援している。野上さんは「FM局の姿勢に感動した」と振り返る。
 木工の趣味を生かし、自宅の工房で製作して定期的にFM局に配送している。東京都小平市で住宅資材を販売する「泉屋」からケヤキ、ヒノキなどを安く購入。部材に加工して組み立て、仕上げに工芸用の漆を塗る。縦35~36センチ、横70センチ、高さは35センチ。1個を完成させるまで半月ほどかかるという。
 文机は座って読書や書き物をする最適な高さで、軽くて持ち運びも楽。野上さんは「学生時代に父が作ってくれた文机で学んだ思い出があり、狭い仮設で勉強する子どもたちにも使いやすいと考えた」と語る。
 野上さんからFM局に届いた文机は、町内の被災者支援イベントで提供。今月からは町内5カ所の各仮設住宅で順次、希望者を募ってプレゼントしている。
 初の試みだった中央工業団地仮設住宅では3個に18人の応募があり、3日の抽選で当選した住民に贈った。宮前仮設住宅では集会所に見本として文机を置き、9日まで応募を受け付ける。
 住民の渡辺美和さん(36)は「狭い部屋に最適な大きさで気に入った。子どもたちも大事に使ってくれそう」と関心を示していた。
 野上さんの元には、文机を受け取った被災者からお礼の手紙が多数寄せられた。「お役に立てて良かった。当面は50個を目標にし、その後はどうするか考えたい」という。
 交流を続けるFM局の放送総合担当チーフ吉田圭さん(53)は「被災者のことを考え、自分でできる支援を続けてくれる心遣いがうれしい」と感謝している。

2014年03月06日河北新報朝刊

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