2014.07.06

仙台のガス灯、NZ照らす 地震被災が縁で仙台市が寄贈へ

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仙台市中心部を照らすガス灯。上部中央に伊達政宗の騎馬像がある=仙台市青葉区

 日本人28人を含む185人が死亡したニュージーランド地震の被災地クライストチャーチ市に、仙台市が8月上旬にもガス灯1基を贈る。クライストチャーチ側から「世界各地から街路灯を集めて市街地を明るくともしたい」と協力を依頼され、応じることを決めた。
 仙台市によると、クライストチャーチ市は街並みが美しく、ガーデンシティー(庭園都市)とも呼ばれる。だが、地震で産業の柱の観光が打撃を受け、復興は思うように進んでいない。打開策として浮上したのが、今回の計画という。
 同市は姉妹都市など世界21都市に寄贈を呼び掛けている。東日本大震災の発生前、仙台市は同市と交流がなかった。しかし、同時期に震災に見舞われ、復興に取り組む姿も重なることが縁で、同市から2013年5月に要請を受けた。
 現時点で仙台市のほか、岡山県倉敷市、シドニー、アデレード(オーストラリア)、デュッセルドルフ(ドイツ)、ベオグラード(セルビア)の5市が寄贈するという。
 仙台市が贈るガス灯は、JR仙台駅前の愛宕上杉通などに並ぶ英国製のものと同型の新品1基(高さ5メートル)。使用中のガス灯から、伊達政宗の騎馬像(長さ43センチ、幅15センチ、高さ42センチ)を取り外し、上部に取り付ける。関連経費は約230万円。
 ガス灯と騎馬像は8月に船で輸送し、到着後に発光ダイオード(LED)仕様に変更して設置。お披露目の記念式典は11月ごろ予定され、職員の出席も検討している。
 仙台市交流政策課の小松卓司課長は「夢のある取り組みに参加できることになった。震災で生まれた新たなつながりを大切にしたい」と言う。
 もともとガス灯は、仙台駅前商店街振興組合などが地下鉄南北線開業を記念して1988年から順次設置し、市に寄付。現在117基あり、このうち24基の上部に騎馬像が付いている。
 同組合の横山治理事長(70)は「震災を乗り越えた騎馬像がガス灯と一緒に海を渡り、世界の街灯と並ぶのは意義深い。震災を後世に伝えるモニュメントになってほしい」と期待する。

 [ニュージーランド地震] 2011年2月22日、ニュージーランド南島最大のクライストチャーチ市(人口約34万)付近で起きたマグニチュード(M)6.3の直下型地震。犠牲者の6割強に当たる115人が、市中心部のビル倒壊に巻き込まれ、死亡した。
2014年07月05日 河北新報

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