2014.11.26

車への情熱忘れず 会津若松市で念願の整備会社設立

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工場内に設置した機材をチェックする佐藤さん

 福島県大熊町から会津地方に避難している佐藤睦美さん(32)は23日、自動車整備会社「車屋COPIN(コパン)」を会津若松市に開業した。機材の関係で本格作業開始は12月中旬からとなるが、苦難を乗り越えての念願の車整備会社設立に、満面の笑みがこぼれた。

「強い絆つくりたい」 
 佐藤さんは南相馬市小高区出身。無類の車好きで、小高工高、県立浜高等技術専門校を卒業し、浪江町にある大手ディーラーの整備士を9年間務めてきた。平成20年には国家試験の一級自動車整備士の試験に合格した。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で、親戚を頼り喜多方市に避難し、仕事も見つけた。しかし車への思いは捨て切れなかった。県から期限付きで自動車の専門学校講師をしないかと依頼され、心が揺れた。
 「安定した暮らしと車への思い。どちらを選ぶべきか」。周囲の反対もあったが「これからも自分らしく生きたい」と車へのこだわりを選んだ。
 講師を引き受け指導しつつ起業の道を探った。大手ディーラー時代と違い、お客のつてもなく、知人もまだ少ない土地で不安は多かった。つらい時期もあったが、資金の確保や整備工場新築のために遮二無二駆け回った。
 「お客一人一人の声を丁寧に聞いて、信頼される店にしたい」と、親身に寄り添う細やかなサービスを心掛ける。思いに共感した、大熊町から避難した弟の知人も整備を手伝ってくれるようになった。「フランス語で『仲間』という意味の店名のように、大熊でも会津でも、これからも強い絆をつくっていきたい」と力強く話した。

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