2015.11.11

<現代の名工>津波に負けず精進

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厚さ1.2ミリの鉄板を彫り込み、装飾金具を作る八重樫さん

◎金具製造工 八重樫栄吉さん(79)=仙台市若林区下飯田
 優れた技能で業界の振興に尽くした人を顕彰する2015年度の厚生労働大臣表彰「現代の名工」に、、宮城県内から金具製造工の八重樫栄吉さん(79)が選ばれた。
 厚さ1.2ミリの鉄板に浮かび上がる龍や唐獅子、菊、ボタン。伝統工芸品の仙台箪笥(たんす)を彩る装飾金具の制作を続けて59年目になる。「今まで以上の作品を作っていきたい」と笑顔を見せる。
 祖父、父、兄を継いで4代目となる。自宅隣の工房で、工具の金づちとたがねを使い、鉄板を彫り込む。1日8~9時間、丹念な作業を続ける。
 東日本大震災で、津波が工房を襲った。工具の大半は塩水に漬かり、駄目になった。70年前の仙台大空襲で工房が焼失した後も、諦めずに金具を作り続けた父の姿と自分を重ね合わせた。「津波に負けない」
 1さおの箪笥に使われる金具は200~300個。全て手作業のため、用意できる金具は年に箪笥1、2さお分が限度だ。「わざわざ工房を訪ねて注文してくれる人ばかり。100年持つ箪笥にして応えたい」
2015年11月10日河北新報

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